撮影の合間に気になる写真展へ。
アンテナにかかるのは、やはりモノクロやポートレートの作品。特に来週くらいからプリント作業にはいるので、今のうちにいろいろなタイプのモノクロプリントを見て目を洗っておきたい。
ひとくちにモノクロプリントといっても、もちろん作家によって十人十色。35mmフィルムを使って粗粒子&ハイコントラスト、大判フィルムでゾーンシステムファインプリント、デジタルネガでプラチナプリントなどなど。
7月の個展用にねらっているのは、粒子を立たせながら階調はなめらかにして肌をきれいに、シャドーのディティールをきっちり描写して服や髪のトーンを潰さない、ハイライトは飛ばないギリギリに明るくして印象を強める…。これ、あくまで理想だけど。
クオリティーをあげようとすればするほど、自分のスキルが足らないことに気がつく。頭の中では素晴しいプリントが出来上がっているけど、技術がそれについていけてない。
写真は情報伝達手段であり、コミニュケーションツールだ。一番重要なのは言うまでもなく何が写っているか。だけどこちらの伝えたいことに目をとめ耳を傾けてもらうには、まずプリントに美しさと少しのオリジナリティーがなければならない。プリントのクオリティーは人の声に似てるかもしれない。どんなにいい事を言ってても、声が小さかったりひどいダミ声では誰も聞いてくれない。メッセージを多くの人に届けるために、耳心地よく魅力的な声(プリント)を身につけたい。
梅雨入りまであと少し。晴れたら撮影、雨なら暗室作業の準備。週末には案内状も出来上がるから宛名書き。ギアをシフトアップさせて前に進もう。
20090602
雨の日が続いていたので、暗室にこもっていた。
写真展用の基準プリントづくり。
撮影はフラットな光の中で露出をできるだけ均一になるように行ったので、一枚の基準プリントができればあとは微調整をすればいいだけ。だからその一枚がすごく大事になる。
肌が色白で服が黒っぽい女性のカットを選んでプリント。服と肌のトーンがきれいに描写できるようにコントラストと濃度を変えながら何枚も焼いていく。たぶん他人が見たら違いがわからないくらいの調整。テーブルの上にズラリと並べて見比べる。
印画紙が濡れている時と乾いてからでは濃度が違うし、照明によっても見え方がかわる。数十時間、暗室にこもりきりだと疲れで瞳孔が開いてくる。どれが正解かわからなくなった頃、一枚のプリントが他から浮き上がって見えてくる。
いつもの事ながら不思議だ。暗室作業をやっていると、ある写真が生命を帯びたように感じる瞬間がある。そう感じた写真だけは何度見ても飽きない。自分が撮った写真なんだけど惚れ惚れしてしまう。それが完成の合図。
丸三日かかったけど、ようやく基準プリントはできた。大きな山場は越えた。梅雨までもう少し猶予があるようなので晴れた日は撮影に出る。写真展まであと一ヶ月とすこし。楽しみだ。