家を出ると雨があがっていた
手袋を忘れた
空気が洗い流されている
土の匂い
こないだ買った靴が足になじんできた
風に飛ばされた落ち葉を踏む
今夜はテラス席のある店で飲むのはどうだろう
20101222
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20101219
愛用のフィルムが製造中止になるというニュースを聞いた翌日、新宿のカメラ屋に行ってみた。在庫をすべて買おうと、ある程度の出費を覚悟していったけど時すでに遅し。ほかの誰かに先を越されていた。
どうしよう。
手元には6本しか残っていない。こんな事ならもう少し買いだめしておけばよかった。とてもじゃないけど1月の展示分が足らない。かといって今から他のフィルムをテストしている時間はない。フィルムと印画紙の組み合わせのために、フィルム用と印画紙用の現像液は自家調合でチューニングしてある。長い時間かけて作ってきたレシピがパーだ。
でも、去っていってしまったものをいつまで嘆いていても仕方ない。前へ進まなければ。他のフィルムのテストを始めると同時に、いい機会だからデジタルも少し勉強しよう。これからしばらくは、作品はデジタル、大事な人のポートレートはフィルム、で撮影するようにしよう。
そう思いたって、早速パソコン用のモニターを買った。これまでは調べ物と文章書き用としてネットブックを使っていたけど、写真編集にはさすがに画面サイズが小さすぎるし、プリンターとのカラーマッチングがよくない。作品をデジタルで作るからにはそれなりのモニターは必要不可欠だ。いろいろ調べてそう高くない(安くもない)モニターを買ってきた。またしてもリボ払いのお世話になった。やれやれ。
今年は出費が多すぎた。去年の年末に引越しをしたり仕事を変えたりして環境が大きくかわったから、なにかと物入りだった。投資の一年だった。来年はそろそろ収穫にとりかからなければ。1月のLine展がおわったら一年の計画を立てよう。あれもしたいしこれもしたい。どっちが前かわからないけど、とにかく進むのだ。
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20101225
クリスマスが終わった。
毎度のことだけど町が騒々しいのは好かん。お気に入りの店がやたら混んでたりするし、おバカップルが電車の中でイチャイチャしたりするし。でも、人が仲良さそうにしてるのを見るのは悪くない。ちょっと羨ましいだけ。
小さい頃のことを思い出した。3歳か4歳だったと思う。はっきりと憶えている最初の記憶だ。
一家の柱をガンで失ったうちの家族は貧しかった。弟の父親と再婚するまでの数年間、二人の子どもを母さんが働いて育ててくれていた。まだ小学生になったばかりの姉ちゃんが家事をこなしていた。自分はただ泣いたりワガママを言って困らせる役だった。
贅沢をするゆとりは少しもなかったけど、数ヶ月に一度、近所のラーメン屋に行くのが家族の何よりの楽しみだった。「一杯のかけそば」と同じようなストーリーだけど、家族3人で一杯のラーメンを分けあって食べた。食べ終わって、いつもお決まりの会話をした。
「おいしかったね」「おいしかったね」
「また来ようね」「また来ようね」
「明日からまたがんばろうね」「明日からまたがんばろうね」
母さんの言うセリフをオウム返しに繰り返した。本当においしいラーメンだった。あのラーメン屋が忘れられなくて、子供の頃から将来の夢は飲食業で働くことだった。医者になってガンで死ぬ人をなくしたい、と思っていた事もあるけど、仮にガンが世の中から消えても他の原因で死ぬ人はいる。ならば残された人を、たとえば一杯のラーメンで束の間でも幸せにする生き方の方がカッコイイ気がした。
「幸せ」を一般的に定義するのは難しいけど自分にとっての幸せは、愛する人と食事を共にすることだ。とりとめもない会話をしながら、おいしい酒や料理をゆっくりと愉しむ。あっという間に時間がすぎる。そして、「おいしかったね」「また来ようね」「明日からまたがんばろうね」、と言って店を出る。
とても簡単なことのようだけど、本当はとても難しい。心からリラックスして食事や酒を愉しむには、お互いに心を委ねることができる関係でないといけない。尊敬して信頼して愛する人。そんな人と飲む酒は、魂をゆさぶる。
乾杯。